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久々の感動

6月11日にジョセフ・リンのヴァイオリン・リサイタルを墨田トリフォニーで
聞いて来ました。息子が仕事の関係で招待券を2枚もらい、息子の知人がだれもその夜
都合がつかず、一枚が無駄になるところを「親父、空いていたら行く?」ということで急遽聞けることになりました。

実は私もジョセフ・リンはまったく知らなかったのですが、ちょっと前に朝のBSハイビジョンで、バッハの無伴奏の演奏を聞いて、「これは結構いいんじゃないか?」と興味があったところだったのです。

まずは、バッハの無伴奏パルティータ3番、ホ長調から始まったのですが、
音が澄んでいてとても清らかで、かつ、勢いのある弾きっぷり。
G線の鳴りかたなどすごかったです。

弾くときに無駄な力がまったくはいっておらず、ボーイングテクニックも完璧。
とくにピアニッシモが美しくて、弱音が美しいので、なおさら、
ffの音がとても効果的に聞こえます。バッハの演奏はすごく自然な弾き方で
大きくテンポを揺らすようなことはないのですが、
聞かせどころをよく把握していてそういうところの弾き方が絶妙でした。

2曲目のイザイの無伴奏ソナタ2番は初めて聴きましたが、2楽章のミュートをつけた響きがものすごく美しくて、涙があふれてきました。バッハでは、まだ会場全体への響きを確かめながら弾いているという感じもあったのですが、イザイも後半になるともう楽器の鳴りが全然違ってきました。

休憩のあとはオライオン・ワイスというピアニストの伴奏でフランクのソナタで。
これはもう圧倒的な演奏でした。とにかく素晴らしい。

このオライオン・ワイスというピアニストは今回が初来日とのことでしたが、
このピアニストもすごく良かったです。

休憩後のフランクのソナタの前にピアノソロでシューベルト=リストの「糸をつぐむグレートヒェン」「水に寄せて歌う」とリストのエステ荘の噴水から「巡礼の年第3年」を演奏しました。
今はエマニュエル・アックスに師事しているそうですが、今後の演奏活動が楽しみな若手でした。

アンコールはドヴュッシーの「月の光」ともう一曲もドヴュッシーの小品(曲名失念)。
アンコール紹介は英語ではなく日本語でした。とても親しみやすい好感のもてる話し方で、ジョセフ・リンは人間としてもとても温かみのある人なのだと思いました。

ヴァイオリンの演奏家の中には、ともすれば技術だけに頼り、確かにうまいけれど、
あまり心に響いてこないという人もいますが、ジョセフ・リンの音はとても温かみがあり、清らかで、高潔さまで感じさせる音でした。

今後の活動がとても楽しみな演奏家にめぐりあえ、とても幸福な一夜でした。

ps:この日の席は前から4列目のほぼど真ん中。なので表情や演奏の細部までよく見えました。10月9日のブルネロのときの席も前から4列目のやや右よりなので、ブルネロの演奏も 今からとても楽しみです。

by hideonoshogai | 2007-06-13 14:24 | 音楽 | Comments(0)  

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