カテゴリ:東京フィル定期( 26 )

 

サンキュー・チュウ

昨夜サントリーホールで井上道義指揮、東京フィルハーモニーの第872回サントリー定期を聴いて来た。東京フィルのサントリー定期を聴くのは久しぶりだった。というのも、もう10年以上ずっと続けていた定期会員だが、2014年末に2015−2016年シーズン定期会員を更新する際、年間会費が大幅に上昇したことや、ここ数年来、業務多忙により年間8回公演のうち半分程度しか聴けなかったことから、会員継続を止めてしまったからだ。

昨夜の井上道義さん(愛称:ミッキー)のショスタコーヴィッチ7番「レニングラード」は実は一昨年7月のオーチャード定期で演奏されるはずだった。井上さんは1999年から2000年にかけて新日フィルでマーラー全曲演奏を指揮していて、その演奏がとても素晴らしく、またショスタコービッチも全曲演奏しており、彼がもっとも得意とする作曲家だ。

その井上さんがショスタコービッチ7番「レニングラード」(ナチスドイツとロシア軍のレニングラード攻防戦を描いた曲)を振るのだから、これはもう絶対聞き逃せない、ということで一昨年のオーチャード定期の一回券を迷わず購入していた。
ところが井上さんは当時咽頭がんに冒されていたため、そのオーチャード定期は桐朋同期の尾高忠明さん(愛称:チュウ)が指揮をすることになった。通常、指揮者が変わっても演目は変えないのだが、尾高さんは、井上さんが病を克服し復帰した際にショスタコ7番を振れるようにとの粋な計らいで、演目をラフマニノフ2番に変更したのだった。

そんな尾高さんと井上さんの深い友情の絆によって実現した昨夜の井上さん指揮シュスタコービッチ7番(タコ7)はもう名演にならないはずはない、と確信していたので、このプログラムが発売されると同時に再度一回券を購入した。

で昨夜の演奏は、それはもうとんでもなく素晴らしく実に感動的だった。
そして昨夜の、もうひとつのサプライズはコンマスが荒井さんだったこと。

荒井さんは昨年5月で東京フィルを退団されていたので、昨夜の定期では三浦さんか近藤さんが弾くのだろうと思っていたが団員が全員入場したあと燕尾服の荒井さんが静かに入場されてきたのでほんとに驚いた。

一昨年井上さんが振っていれば、恐らくショスタコ弦楽4重奏をモルゴーアカルテットで全曲演奏されるなどショスタコが得意な荒井さんがコンマスとして弾くはずだったから、この記念すべき井上さんの復活公演にゲストコンマスとして荒井さんを迎えたのだろう。

さてその演奏は、前プロのハチャトリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」から井上さんの本領発揮で
ダイナミックで変幻自在で素晴らしく、2曲目の子守唄を聴きながら、辛かったであろう闘病生活に思いを馳せていたら何故か涙腺が緩んできてしかたなかった。

後半のタコ7はこれはもう期待に違わぬ名演だった。
東フィルの定期の中でも最近にない名演といっていいだろう。
特に荒井さんの全身全霊をこめた弾きっぷりには本当に圧倒された。
ほとんど激しく荒々しい音がずっと続くこの曲のなかでの3楽章の弦のアダージョや後半のビオラのメロディの美しさは特筆ものだった。

終楽章のフィナーレがフォルテッシモで終わるや否やブラヴォーの嵐で観客も熱狂した。

最後に井上さんが再び登壇し聴衆の拍手を静まるのを待って語りだした。
「僕が今夜こうしてショスタコービッチの7番を振ることができたのは、
僕が病気でこの曲を振れなくなった時に親友の尾高忠明が僕のためにこの曲をとっておいてくれたからです」
「サンキュー・チュウ」と言って客席に向かい両手で大きくガッツポーズをし、壇上を去った。

私からも「サンキュー・チュウ」「サンキュー・ミッキー」「サンキュー・荒井さん」(演奏直後の荒井さん、しばし放心状態で涙をぐっとこらえているように自分には見えた)
そして「サンキュー・東京フィル」
あなた方のおかげで昨夜はほんとに素晴らしい音楽を聴かせてもらえとても至福な時間でした。
ほんとうにありがとう。

本日の画像はサントリーホールではなく、
このところライブカメラでの定点観測にはまっている十勝川白鳥大橋の
1月15日朝8時過ぎの映像。
朝日を浴びた日高山脈そして厳しい寒さ(氷点下15度)で十勝川に川霧が立ちこめている。

レニングラードには行ったことがないが、ナチスとロシアのレニングラード攻防の戦いの中でも
当時の戦闘員はきっとどこかで極寒に耐えながら、このような美しい自然の光景を眺めていたのかも知れない。

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なお昨夜のタコ7は明日オーチャードでも再演されます。
聞き逃した方は是非オーチャードに足をお運び下さい。
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by hideonoshogai | 2016-01-16 15:40 | 東京フィル定期 | Comments(4)  

コバケンの幻想交響曲

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東京フィルの860回サントリー定期を聴いて来た。
実は、もう10年以上続けて来た定期会員を来期は更新しなかったので
指揮者の表情を右側から眺めることができるいつものRAブロックに座るのも
昨夜で最後だ。

前半は堀米ゆず子さんのソロでモーツァルトのヴァイオリンコンチェルト。
モーツァルトは久々に聴く。
端正な音がとても心地よく響く。

小林研一郎さんの指揮は3年前に悲愴を聴いているが
実はこの演奏がどんなだったかあまり良く覚えていない。

しかし、昨夜の幻想交響曲は、ずっと記憶に残る
名演だった。

最初から最後まで、まったく飽きずに聴く事ができた。
フレーズの歌わせ方、低弦の鳴らし方、そして管楽器の豊かな音色。
フォルテッシモの打楽器の響き。
これらがすべて一体となって渾身の演奏だった。

前回のチョンミョンフンのマーラー6番よりも
昨夜の方が遥かに素晴らしい音がした。

定期会員として最後の演奏を
記憶に残る名演奏で終わることが出来たのは幸運だった。
恐らくそう思いながら会場を後にした聴衆も多かったのではないかと思う。

次からは一回券で通うことになるが、
1年後の井上さんのショスタコ7番は今からとても楽しみだ。
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by hideonoshogai | 2015-03-14 06:27 | 東京フィル定期 | Comments(0)  

チョン・ミョンフンのマーラー6番

今夜はサントリーホールでチョン・ミョンフンの
マーラー6番を聴きます。


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東京フィルでマーラー6番を聴くのは2008年2月の
ハーディング以来
です。あの夜はピオヴァーノさんがチェロのトップで
彼の音がビンビン飛んで来て衝撃でした。
今夜はどなたがトップを弾かれるのでしょうか?

どんな演奏になるか今からとても楽しみです。
当日券がまだあるようです。
学生はたった1000円で聴けるのですね。
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by hideonoshogai | 2015-02-25 16:13 | 東京フィル定期 | Comments(0)  

交響曲二番

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先週金曜日は、東京フィルサントリー定期でシューマンとブラームスの交響曲二番を聴いてきたが、今日はオーチャード定期でラフマニノフの交響曲二番を聴いた。
大植さんのブラームスもよかったが、今日のラフマニノフが3曲の中では、一番感動的名演だった。甘美な弦のユニゾンも美しかったが
クラリネットの万行さんの3楽章ソロが何とも素晴らしかった。
それから、チェコフィルから交換留学で来日中のティンパニ奏者、ミハエル・クロウティルさんにブラボー。彼のティンパニはサントリーでもその上手さにびっくりしたが今日も弱音からffまで自在で素晴らしかった。
今日は元々、シヨスタコービッチの交響曲七番を井上道義さんが振る予定だったけれど、井上さんは現在、中咽頭がんで闘病中。急遽、同門の尾高忠明さんがラフマニノフを振ることになったが、かなりの人でホールは混雑していた。
終演後、表に出ると地下のロビー・ラウンジでバイオリンとアコーディオンの奏でるシャンソンの生演奏が聞こえてきた。文化村25周年のイベントで、フランス音楽を取り上げている。今週の土曜日には渡邉辰紀さんがチェロを弾く予定
こちらも、今からとても楽しみだ。





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by hideonoshogai | 2014-07-21 18:32 | 東京フィル定期 | Comments(0)  

東京フィル第818回サントリー定期

ベルリンフィルの12人のチェロと時間が前後するが、
先々週の金曜日にサントリーでアルベルト・ゼッダ指揮の東京フィル定期を聴いてきた。

アルベルト・ゼッダ。
いやもう完全にこの指揮者の虜になってしまった。
こんな素晴らしい指揮者を今まで全然知らずにいたことが恥ずかしいくらいだ。

この夜はプログラムからしてとても刺激的。

ヘンリー・パーセル:アブデラザール組曲
ケルビーニ:交響曲 ニ長調

ベリオ:フォークソングズ
メンデルスゾーン:交響曲4番 イ長調「イタリア」

ゼッダはもう80歳をすぎているはずだが、ベリオ以外は暗譜。
とても若々しいし体の動きに加え
手、棒全体からビンビンと彼の音楽がダイレクトに伝わってくる。

パーセルでは透明感のある美しい弦の響きがとても印象的だったが
ケルビーニやメンデルスゾーンではとても歯切れよく、かつダイナミックな音が心地よい。
特に「イタリア」の4楽章サルタレロの迫力には圧倒された。

会場は約7割り程度の入りでしかなかったが、熱狂的な拍手に応え
アンコールで4楽章がもう一度演奏された。

ゼッダはもう次回も必ず聞きに行きたい指揮者だ。


彼の指揮ぶりが動画にアップされていないか探したら
シェエラザードの4楽章があった。
とてもダイナミックな指揮で団員をぐいぐいひっぱっていく。
このオケ物凄く上手い訳ではないが、とても惹きつけられる演奏だ。



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by hideonoshogai | 2012-07-02 21:25 | 東京フィル定期 | Comments(0)  

東京フィル第65回オペラシティ定期

本来なら今夜サントリー・ホールで第806回定期を聞くはずだったが、
仕事が入ってしまい聴きにいけないので前日のオペラシティに振り替えてもらった。
上岡敏之さん指揮で前半が「未完成」後半が「グレート」の
オール・シューベルト・プログラム。
上岡さんを聞くのは2度目。
前回は確か新日本フィルだったと思うが曲目がなんだったか記憶がさだかで無い。

全体を通して柔らかい透明な音だった。
「グレート」1楽章のラストなどは、弦も打楽器的な響きがした。

いつも聴いているサントリーのRAではオケの音がダイレクトに体にぶつかってくるけれど昨夜は1階の30列だったので、いつもより音がかなり遠い感じがする。

それに加え、自分のすぐ前の席に小さなお子さんがいた。未完成という聴きやすい曲であってもやはりすぐに退屈してしまうのだろう。彼女の体の動きや、それに伴ういろいろな騒音が気になってしまい、前半は集中して聞けなかった。

休憩時に開場係りに訳を話し、一つ後ろの列にかなり空席があるのでそちらへ移動しても良いか尋ねたところ、主催者に聴いてください、との返答。
ということで、東京フィルの担当者の方に後方に移動して良いかお伺いしたところ
自分の2列前の空席に移動してください、とのことだった。
でも2列前にもお子さんが3,4人いてそこからも結構騒音が出ていた、というよりも2列前には空席が一つもなかったので、結局最初から狙っていた一列後方の空席に移動した。

あれだけ席が空いているのだから、自分の判断で子供の発する騒音が気にならない範囲での移動は許されるのではないかと思うのだが、会場側も主催者側もなかなか簡単にはOKしないようだ。

弦は昨夜もとても美しく鳴っていたけれど、先日のサントリー同様、昨夜もチェロトップは渡邉辰紀さんだった。隣は服部 誠さん。
シューベルトはチェロの聞かせどころがたくさんあるがとても綺麗な音がしていた。
服部さんも右手が上手い。

1stヴァイオリンの二宮純さんは先日のサントリーに続き、昨夜も2プルト表。
コンマスの真後ろの席は後ろに比べたらきっと凄く弾き易いんだろう。
気持ち良さそうに弾いておられた。

未完成2楽章のクラリネットの万行千秋さんのソロ、とても美しかった。
万行さんのクラリネットは、以前コダーイの「ガランタ舞曲」が素晴らしかったのが強く印象に残っている。
グレートが静かに終わるとしばらくしてブラボーの嵐。
結構、上岡ファンが大勢聴きにきていたのかも知れない。
強烈な個性という点では先日の大植さんのほうがすごく印象的だが
上岡さんはドイツ物を振る数少ない正等派の一人という感じ。

終演後、初台駅のホームに行くとチェロの太田徹さん、ヴァイリンの高岩紀子さんなどが
もう地下鉄に乗車されている。舞台からホームに直行されているのだろうが、終演後あんなに早く移動されているのにはちょっとびっくり。
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by hideonoshogai | 2011-07-22 17:17 | 東京フィル定期 | Comments(2)  

東京フィル第805回サントリー定期

6時半にホールに到着するとなんとコンバスが1stバイオリンの後方に。
先日、西千葉でリサイタルを聞いた遠藤さんがちょうど弓に松脂をつけ
練習開始、その後コンバスセクションは8人全員が壇上に出てきて
各人思い思いに音だし開始。
オーボエがモーツァルトのピアノ協奏曲27番のソロをさらい、
次第に本番への期待が高まっていきます。

この夜は
個人的には今年のサントリー定期の中で、一番期待値が高かったコンサート。
7月5日の夜、大植英次さん指揮、小曽根真さんのピアノで
モーツァルトのピアノ協奏曲27番を聞いてきました。


素晴らしかった。
聴きに行けて良かった。

あんなに楽しいモーツァルトはほんとに久しぶり。
モーツァルトほど演奏者泣かせの曲は無いと思いますが
小曽根さんのピアノは音の立ち上がりが明快で爽やか。
そして自在に音を変化させてくれるので決して単調にはならず
カデンツァでは「あれっ!」と思うスイングするジャズ風のアレンジが。
モーツァルトがあのカデンツァを聴いたらどう反応するか?なんて考えながら
聞き惚れてしまいました。

大植さんもテンポの中でオケに存分に歌わせますが
オケの反応が絶妙。かといって自己主張すぎる訳でもなく。
抑制しすぎるわけでもなく。全体のバランスが素晴らしい。

2楽章、3楽章では、小曽根さん+弦トップ(コンマス:三浦章宏さん、セカンド:宮川正雪さん、ヴィオラ:須田祥子さん、チェロ:渡邉辰紀さん、コンバス:加藤正幸さん)だけ、つまりピアノソロ+弦楽5重奏だけでの演奏がかなりあったけれど
あれがとても効果的で室内楽を聴いているような錯覚に陥りました。
この編成が、tutti になった時のダイナミックな音の広がりを一層効果的に演出していました。
(あれはスコアに「弦楽5重奏だけ」と指定されているのだろうか)
(それとも大植さんがそう演奏するようにしたのか)

大植さんの指揮を見るのは、2005年3月20日の大阪フィル東京定期のマーラー6番以来でしたがあんなに「踊る指揮者」だったかなぁ・・。
小澤征爾さんの「手の動き」がさらに進化した感じとでもいったらよいのか・・。
一緒に行ったカミサンは「まるでドジョウすくいのようだ(←それはちょっと言い過ぎだと思うけど、確かに凄い動きだった」
でも大植さんのそんなダイナミックな指揮は大好きです。
ただ、以前とは、すこし指揮のスタイルが変わったような気がします。

小曽根さんのアンコールは Bill Evans の Walts for Debby。
これがまた素晴らしかったです。

休憩後はブラームス1番。

冒頭は少し抑制されていて、意外な感じがしましたが
4楽章のフィナーレに向かってじわじわと高揚して行く響きが素晴らしかった。
2楽章の三浦さんのソロは上手かった。

終演後のブラボーは先日の三つ橋さんに比べると若干少なかったようですが
自分の中での満足度はこの夜の方が断然上回っていました。

次の上岡敏之さん指揮のオール・シューベルトが今から楽しみです。
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by hideonoshogai | 2011-07-08 16:59 | 東京フィル定期 | Comments(2)  

東京フィル第803回サントリー定期

先週金曜にサントリーホールで三ツ橋敬子さん指揮のオール・ベートーベン・プログラム
を聞いてきました。チケットは完売で、三ツ橋さん相当人気があるようです。
三ツ橋さんは1980年生まれなのでまだ31歳。

とても小柄な方なのに指揮はダイナミックで、ブレスもとても大きくて、明快な棒でした。
「皇帝」(ピアノ:横山幸雄さん)の冒頭は全身の力をこめてタクトを振り下ろしオケも重厚かつ緊張感のある音で応えていました。
横山さんのピアノを東京フィルで聞くのは2度目?ですが、タッチのするどさ、豊かな音量そして重厚な響で圧倒されます。「皇帝」を生できいたのは実は初めて・・・かも。
RAブロックからステージをみていたから気づけたのかもしれませんが、1楽章では、チェロトップが一人で弾く箇所が随分多いのですね。この夜は金木さんがトップでした。
後半の「英雄」はどの楽章もかなり早めのテンポで三ツ橋さんどんどん攻めてきます。
前へ前へと進むこのテンポが耳に心地よくて、演奏に引き込まれます。
速いといっても音楽の流れはすごく自然で、三ツ橋さん、要所をバシッと決めてくれるので、メリハリがはっきりしていました。
3楽章もかなり速いテンポで、あれは弾くほうは大変でしょう。
英雄の3楽章や、第9の2楽章の速いスケルツォ。
弓を軽くとばす右手のコントロールが昔から得意ではないけれど
またちょっと練習しなくちゃ、という気分になりました。
終演後はブラヴォーがいつもより多かった。

今後が楽しみな指揮者です。
三ツ橋さんと東京フィルこんどはブラームスを聞いてみたいです。
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by hideonoshogai | 2011-06-28 14:08 | 東京フィル定期 | Comments(0)  

東京フィル第786回サントリー定期

前回も、前々回も仕事がらみで抜けられない用事があり、定期を聞けなかったので
先週金曜は久しぶりのサントリー定期だった。

今回の指揮者はコンスタンティン・トリンクス。
大野和士さんのアシスタントを務めていたというドイツ生まれの若手だ。

前プロは

「モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲」

そして、メインがマーラーの5番。

モーツァルトは1stヴァイオリンが6人で、ホルンとオーボエが2人ずつという小編成。
フルートは斉藤和志さん、ハープは田島 緑さん、お二人とも東京フィルの首席奏者。

「モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲」は大好きな曲なのだが、生を聴くのは実は今回が初めて。

ハ長調のとても親しみやすい旋律と歯切れよく軽快な響きがとても心地よかった。
この曲、簡単に演奏しているように見えるけれど、実際はどうなんだろう。
モーツァルトを演奏するのは、やはりとても難しいのだろう、と思う。

フルートとハープを比較すると、ハープのほうが結構大変なんじゃないか?と思いながら聞いていた。

2楽章の幸福感あふれる響きが一番好きだ。



休憩後はマーラー5番。

冒頭のトランペットのソロはかっこ良かった(ソロは辻本憲一さん)。
ソロに続いてオケがffで鳴ると、ホール中に充満した大音響に痺れてしまう。

2楽章は激しく荒々しく、そして3楽章はちょっとおどけた感じ。
4楽章のアダージェットは、ハープのあとにゆったりと流れる弦の響きが随所で輝き、そしだいに深い静寂へと向かっていく。
そんな光と影のコントラストが見事。

でいよいよ最後の5楽章はあのト〇タ、セ〇シオのTVCMで使われた金管の圧倒的なテーマに向かってオケが一気に突き進む。

最後の和音が鳴り終ると、お客さん、かなり熱狂していた。
トリンクスさんもとても満足そうに笑顔で応える。

ところで、4楽章の途中から指揮者の左側で(私の席から見て)、
ペンを右手に持ち、うっとり聞き入っている女性客を発見。
4楽章、5楽章とそれぞれ数回なにやらメモしていた。

あの方、きっとブログを書いておられるのだろう。

音楽は確かに一瞬一瞬で音が消えていってしまうので、
その微妙な音の変化を後になると忘れてしまう。自分も、メモしたいと思う時、確かにあるなぁ。

トリンクスさんの指揮は振りが大きくとってもわかり易い。
まだ35歳だから、今後が楽しみだ。
マーラーは決め所があちこちあるけれど、そこを外さない。ピシッと決めてくれた。
全体にテンポはあまり揺らさず、自然な流れの音楽を作っていた。

ヴィオラトップが須田さんだったのだけれど
須田さんの存在感は凄い。あの華奢な体から出てくる音のすごさったらない。
3楽章のヴィオラのピッチカート。
ホール中に響き渡るすごい音がしていた。

1ヴァイオリンでは、3プルト内で鈴木左久さんが弾いていらっしゃった。
ヴァイオリンの色が以前よりも茶色っぽく見えたけど楽器を変えられたのかな?
サントリー定期で鈴木さんを見るのは久しぶりだったので、
思わず鈴木さんに手を振りそうになってしまった。
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by hideonoshogai | 2010-05-24 16:44 | 東京フィル定期 | Comments(0)  

東京フィル第775回サントリー定期


先週金曜はチョン・ミョンフン指揮でブラームスの1番と2番。
大好きなブラ1とブラ2を一晩で聞けるというなんとも贅沢なプログラム。

ブラームスの1番も2番も、どちらも通常は、演奏会では最後に演奏され
拍手とブラボーでコンサートが終わるという定番の曲。これを2曲もやってしまうというのですから演奏されるほうはきっと大変だったろうと思います。
普通なら、4楽章が終われば、「これで今夜のコンサートはもう終わり」って感じでしょうが、休憩後にもう1曲(しかもどちらも大曲)演奏するのですから緊張感と集中力は相当なものだったと思います。

とにかく、これを聞き逃してはならぬということで(サントリーでは開演におくれると楽章間でも入場できないので1曲パーになってしまうのです)、時間休をもらい、G楽器で毛換が終わった弓2本を大事に抱えながらサントリーへ向かったのでした。
5時ごろは青空が見えて傘など持ってくるんじゃなかったと後悔していたら(なにせ弓を2本も持っていますから両手が塞がって大変)、サントリーへ入場する直前には土砂降りの雨。
それにものすごい湿気。ちょっと歩くだけで、汗がじとっ・・と出てきます。
こんな湿度の高い時の演奏はさぞかし大変だろうなどと考えながら会場へ入りました。

当日はチケット完売にもかかわらず、空席が1割ぐらいありました(勿体ない)。

ブラームス1番が後半かと予想していたら
演奏は作曲順で1番が最初。で、休憩後に2番。

ブラームスのシンフォニーはアマオケなんかだと、どうしても、がんばって弾きすぎてしまう傾向があると思うのですが、東京フィルの音はとても自然な響きでした。

1番は冒頭を聞いてびっくり。
とにかく皆さんリラックス(←表現が悪いかもしれないけど、「力む」の反対の意味です)して弾いていらっしゃる。
なので、とても力強く重厚なのですが、決してうるさくなく、響きがすごく自然なのです。
マエストロは、自然体で弾くことを奏者に要求したのではないかと思える音でした。
またテンポが遅すぎず早すぎず良かった。
ティンパニーかっこよすぎ。

2楽章のホルンのソロはppからffまで音の表現に幅がありふくよか。
三浦さんのコンマスソロも一品でした。
4楽章は最後のクライマックスが見事にきまり素晴らしかった。

休憩後の2番はいっそうリラックスした音がして大満足。
チェロは聞かせどころがたくさんあって聞き応えがありました。
いつも後ろのプルトで弾いていらっしゃる渡邊文月さんがトップサイドで
したが(トップは金木さん)、なんか弾き方がいつもと違って、見えました。
マエストロの前に座るとやはり相当気合が入るのかな・・

この夜の演奏の模様はNHKのFMシンフォニーコンサートで放送されるそうです。
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by hideonoshogai | 2009-07-28 17:41 | 東京フィル定期 | Comments(6)