素晴らしい一夜

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東京芸術劇場でデュダメル指揮のSBYOVを聞いて来ました。終演後一時間半過ぎていますが、まだ興奮さめやらず。日本人の観客が、あれほどたくさんしかもほぼ同時にスタンディングオベーションするのを見るのは、今夜が初。それほど感動的でエキサイティングで圧倒的な演奏!続きはまた後でアップします。写真はチャイ5の後、熱狂する観客と舞台上のオケ。


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「のだめ」で千秋が「さあ、これから楽しい音楽の時間だ」といってSオケでブラ1のタクトをふったSオケのデビュー・コンサート。
観客が熱狂し、ほぼ全員がスタンディングオベーションをする。
こんなことは漫画やドラマの中の作り話と思っていた。

昨夜の東京芸術劇場。
Dudamel指揮のSBYOVの初来日コンサートで、彼らは私たちの目の前で、この光景を作り出していた。

会場に入場すると、舞台の上にセッテイングされた椅子の数に圧倒される。
まずチェロを数える。1,2,3,4・・椅子が重なって正確に数え切れない。
もういちど最初からカウントしなおすと、チェロだけで18。
ビオラも18。コンバスは10。
ヴァイオリンはもう数えられない・・というかどこまでが1stで、どこから2ndなのかわからないほど椅子が密集している。
(後でプログラムをみたら1stはなんと24名だった)

団員が登場すると場内からは一斉に拍手がおこる。
皆さん若くてピチピチ。女性奏者はハイヒールにミニスカート姿も。
コンマス以外の団員が勢ぞろいすると、ステージ上は黒いスーツで覆いつくされる。それぐらい団員が多い。
ホルンは8、トロンボーンは6、まるでマーラーやショスタコが始まるような金管の数。

Dudamel が団員をかきわけて登場すると場内は一気に盛り上がる。
開演前からこんなに熱気があるのは何故?
それほどみんながこのオケと指揮者に期待し注目し、演奏を待ち望んでいた、ということだろう。

チューニングがはじまると、チューニングの音のなんと厚みのあることか。
弦楽器の数が通常のオケの2倍はいるし、管楽器も二倍。
なので、チューニングの音からして、もう音が重厚というか、奥行きのあるAが響きわたるのです。
これには正直びっくりした。

最初は奏者が全員起立したので何がはじまるかと思いきや
「君が代」演奏に続きベネズエラ国歌の演奏。
ベネズエラ国歌は初めて聞いたが、とても親しみやすい旋律で良い曲だ。

1曲目のラヴェルのダフニスとクロエ第二組曲の「夜明け」が始まった。
柔らかい弦に乗って、フルートが難しいパッセージを楽々と吹き始める。
なんという柔らかい響き。これほど弦楽器が多いのに、全然うるさくない。
1stヴァイオリンの旋律の美しいこと。
「無言劇」のオーボエ、フルートも美しい。

Dudamelの指揮は、身体全体を使って音を表現する。
決めるところではとても大胆な動きだし、手や指の表情が実に細やかで
身体が柔らかい。指揮を見ているだけでどんな音がでてくるのか実によくわかる。
コラール風の響きのあと、いよいよ「全員の踊り」が始まる。
すごいすごい。どんどん引き込まれていく。
一瞬、ジダンがヤカンをキックする某カップ麺のCMの映像が頭をよぎる。
最後のクライマックスむかってもう一気にオケが突き進む。
もうだれもこの音楽を止めることができない。
fffでオケが最後の音を出し終えると
もう熱狂的な拍手とブラヴォー。
まるで最後の演目が終わったような興奮。
1曲目からこれなら、いったい最後はどうなるの・・?

2曲目は南米の作曲家カステジャーノス の作品。「バカイリグリアの聖なる十字架」(最新CD「Fiesta」に収録されている)
最初と最後にラテン系のリズミカルな曲があり中間部にとてもしっとりした
弦が歌われる曲。はじめて聞いたが、これも素晴らしい演奏だった。

ここで休憩。
入場するときに偶然mototyoさんと一緒になり待ち合わせていたのだけれど
ロンドンから帰省中のLEさんともお会いし3人でお話することができました。

後半はいよいよチャイコ5番。
これはもう・・・ほんとに素晴らしかった。
弦は美しいし、金管は迫力ある音がとびこんでくるし、
もう圧倒されっぱなし。
あんなに熱いチャイ5はもうほんとに久々。というより初めてかも。
最後のマーチが堂々と終わると終わると、
観客は一気に、スタンデイングオベーション。場内の半数ぐらいが立ち上がって熱い拍手をおくる。

Dudamel は何度も何度も丁寧にお辞儀し
ホルン奏者を立ち上がらせた(ホルンのソロすごくうまかった。あの弱音の美しさと豊かの音量)。

アンコールは、なんと昨年のプロムスで会場を一気に盛り上げた
「マンボ」。
これはもうすごい。演奏は勿論だけれどパフォーマンスが楽しいったら
ありゃしない。
踊りながら、楽器をクルッと回転させ(チェロ・コンバスセクションもやっていた)楽しく陽気に演奏。
You Tube でみたロイヤルフェスティバルホールの「マンボ」の光景が今
こうして自分の目の前で再現されている。

「マンボ」が終わると観客さらに熱狂。
ほぼ6割~7割ぐらいのお客が立ち上がり熱烈な拍手。
こんな興奮するコンサートは今までで初。

アンコールの2曲目も威勢がよく楽しい曲でした。

このオケ。とにかく楽しい。
オーケストラの演奏を聴いて、心底、こんなに楽しんだことがあっただろうか。
ただ楽しいだけじゃない。
演奏の中にぐいぐい引き込まれていく。

昨夜、驚いたことがもうひとつある。
会場はほぼ満席だったにもかかわらず
咳ばらい、チラシをめくるおとなどなどのノイズが一切なかった。
それほど、観客は音楽に集中し、
このオケと指揮者の一挙手一投足に注目していた、ということだろう。

ベネズエラの青少年を麻薬中毒から救済するために始まった「エル・システム」。
貧困にあえぐ子供たちに無償で楽器が与えられ、楽器を弾くこと
音楽を楽しむことで、彼らを貧困と麻薬から救う。
そのシステムの頂点にあるのが、昨夜のオケ。そして
このオケから育ち彗星のごとく現れたのがDudamel。

このコンビによる初来日コンサートを会場で体験できたのは幸運だったし
この感動はそうとう長いあいだ持続するに違いない。

昨夜はNHKのカメラが入り収録していました。
放送は来年2月20日だそうです。


おまけ:自分の席の通路をはさんですぐ右に、江川紹子さんがいらっしゃいました。
    会場には、指揮者の井上道義さん、音楽評論家の奥田佳道さんなどのお姿も。


訂正
「エル・システム」  → 「エル・システマ」
「ロイヤル・フェスティバル・ホール」 → 「ロイヤル・アルバート・ホール」

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by hideonoshogai | 2008-12-17 23:01 | Comments(20)  

Commented by いいですねー at 2008-12-17 23:40 x
私も次回は行こうと思います!知るのが遅かったです。
Commented by mototyo at 2008-12-18 08:20 x
すごかったですね!
静かなメロディのところは澄んだ美しさ、激しいところは炎のごとく。
スタンディングは、紀尾井でガリアーノのときがそうでした。やはりラテン系は日本人と合うのかも。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-18 12:04
いいですねさん、こんにちは。いや~素晴らしかったですよ。
今夜東京フォーラムでマラ1演奏しますよ。会場は5000人収容なので当日券まだあるはずです。。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-18 12:05
mototyoさん、良かったですね~。ほんとに圧倒されました。今夜もLEさんと一緒に東京フォーラム行きますか?
Commented by LE at 2008-12-18 12:55 x
すごーい、ご帰宅後、これだけ一気に書いちゃったんですか?
わたしは今記事アップしました。それぞれ書き方が違っておもしろいですね。motoちゃんと行く事にしましたよ-今晩も。もうS席しか残っとらんってほんまかいなぁ〜。but it's worth - イギリスじゃチケット売り出しと同時に買わないと買えない位人気高です。楽しかったね?こちら、記事のトラックバックができないみたいなので、残念。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-18 23:42
鍵コメさん、ありがとうございます。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-18 23:46
LEさん、こんばんは!あの時間からだとさすがに一気には書けないです。昨夜はほんの出だしだけ。あとは早起きしてからと昼休み前に。実はこの前怪しげなトラックバックがあったので、設定を変えてしまいました。すみません。
Commented by もももさん at 2008-12-19 02:54 x
デュダメルファンとしては非常に悔しい限りです。
きぃーーーーっ!
こういうのを音楽の奇跡とか魔法とかいうのでしょうかね。

Commented by mototyo at 2008-12-19 08:50 x
もももさん、今日、広島でもやりまする。

これを聴いて日本のジュニアオーケストラも発奮するといいとおもいます。
この下に、たっくさんの子供たちが控えていて上を目指してる。
サッカーのような役割もあるかも。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-19 17:52
もももさん、どうも!何か今まで体験したことがないコンサートでしたよ。Dudamel と「エル・システマ」の凄さだと思います。2月20日にNHKで放送されるそうなので、じっくり見てくださいませ。TVからでもあの熱狂ぶりは充分伝わるはずです。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-19 17:56
mototyoさん、広島の会場は東京フォーラムよりは狭いからマーラーきっと良いでしょうね。今の日本の子供はハングリーじゃないから、あのレベルには到達しないような気がします。
Commented by もももさん。 at 2008-12-21 08:41 x
mototyoさま
広島、行きたかったのにこの日は仕事関係と重なったとです・・・・うう。どうだったんだろうか。
実は広島は近いようで移動するには結構遠いとですよ。
テレビを楽しみにしとりまする。

いまだ世界には戦場で武器を手にしている子供たちがいます。
すべての麻薬や武器を楽器に換えることができたらよいですよね。
日本は経済的には裕福なのに楽器が身近にある環境が少ない気がしますね。
Commented by スパン at 2008-12-21 11:06 x
あれからもう幾日も経ったのに、いまだにあの夜の興奮をひきずってます。
私があの日のMVPをあげたいのは、アフロのホルン君。
彼の甘く囁くようなソロは言葉にはできない美しさでしたね。

江川紹子さんと井上ミッキーさんは私もコンサート会場でよくお見かけします^^;
Commented by hideonoshogai at 2008-12-21 23:26
スパンさん、こんばんは!ほんとにあのアフロのホルン君はうまかった。チャイ5のソロは素晴らしかったですね。フルートもオーボエもクラも凄かったし、コンマスも勿論すごい艶がある音色でびっくりしましたよ。
はやくTVを見たいですね。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-21 23:34
もももさん、19日お仕事だったんですね。聞きにいけなくて残念でした。広島もきっと素晴らしい演奏だったんではないでしょうか。。
日本の場合、楽器を小さい頃から習っている子供たちの多くは、すごく大事にされすぎて温室育ちのような気がします。
mototyoさんは今夜は風邪ぎみなので早く休んだようですよ。
Commented by mototyo at 2008-12-22 09:43 x
hideo兄、代返すんまそん。タンジジィ状態でレッスン行きますわ。いやがられそう。
麻薬や犯罪から子供を守る、と始まったけど、どうせ慈善事業と言われないために、世界最高峰の演奏家達に育てたんですね。それを聴けて幸せです。 もももさんも、次回は是非。 商売人のカ〇モトはきっと招ぶと思いまする。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-22 13:16
mototyoさん、本日ダブルヘッダーでは大変ですね。あんまり真剣に弾かないで(←師匠には悪いけど)、体力温存してくださいませ。どうぞ、お大事に~!
Commented by hideonoshogai at 2008-12-22 15:46
もももさん、広島も凄かったようですね。
アンコール2曲で盛り上がった後で、一番最後に「君が代」。
感想はこちらにアップされていました。

http://www.kaishoku.com/nikki/shu1_diary/
Commented by mototyo at 2008-12-23 00:16 x
広島、東京の一日目以上の盛り上がりだったようですね。
ここに出てくるさとなおさんの記事、なかなかよく書いてありました。
広島行ったのはやはり理由があったのですね。
ますます好きになりました。
Commented by hideonoshogai at 2008-12-23 22:06
さとなおさんのサイトは人気があるんですね。
アクセスカンタの数字みて驚きました。
2682万でしたよ!

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