ジャン・ギアン・ケラス&アレクサンドル・タロー
ヨーヨーマの16日サントリー公演と18日のミューザ川崎公演に挟まれた11月17日。
ジャン・ギアン・ケラスとアレクサンドル・タローのリサイタルを聞いて来ました。
今回はオールフランスもの。しかも今までほとんど聞いたことがないプーランク(1899~1963)をやるというのでとても楽しみにしていました。
会場の紀尾井ホールは四谷から徒歩7~8分。四谷駅に6時40分頃を目指して職場をでましたが、バスが10分待っても来ず、予定の快速に乗り遅れ、その後の特急に乗車して何とか開場時刻まで間に合いました。
会場は9割ぐらいの入り。やはりケラスとタロー、人気があるのですね。
ジャン・ギアン・ケラスの生は東京交響楽団とのドボコンを昨年9月に聞いていますが、その時はサントリーのP席寄りのRA席だったので、チェロの音の通りがいまひとつでした。今回は響きでは定評のある紀尾井ホールのRBブロックだったのですがケラスのチェロ素晴らしい音でした。
とても柔らかくて透き通るような音から緊迫感のある重厚な音まで変幻自在。
ケラスはボーイングテクニックが抜群です。高音も素晴らしいのですが、C線が物凄くずっしりとお腹に響くような音でたまりません。
最初のプーランクのセレナードはとても懐かしいメロディ。どこかで以前何回も聴いたことがあるはず。しばらくして、デュプレのCDの中にはいっていたことを思い出しました。
これはバロックとまではいかなくてもかなり古い時代の曲とおもっていたのですが、
解説を読んで納得。17世紀の作者不明のテキストをもとにプーランクがバリトンのために作曲したシャンソンのチェロ版です。
ケラスのボーイングは録画映像でも感じていたけど、ほんとに美しくて、無駄な動きが一切ない。弓のスピードが物凄く遅くてもしっかり音が出ている。弓のスピードを早くしてクレッシェンドするときも決して力んでいない。なので音が自然で聴いていて全然疲れません。
フランス組曲になるとセレナードよりもチェロが鳴ってきて、しかも弾き方がすこし大胆になってきて、とても楽しめました。7曲からなる舞曲。
ドビュッシーでは、プーランクの時よりもチェロの音がしっかり響いているようでした。弾き方を少し変えているのかも知れません。ドビュッシーは、旋律が漂うようで美しい。聞かせどころへ向かって音楽が高揚していくのを聴いているとこちらも興奮してしまいます。自分はこれまでドヴュッシーをあまり聴いてなかったのですが、結構好きになったかも。ケラスの演奏で聴いたから好きになったのかも知れませんが・・。
観客の反応もこのドビュッシーが一番良かった。紀尾井は結構狭い会場なのにあちこちからブラヴォーが・・・。
ケラスのドビュッシーを聴きながら、「辰紀さんならどんな音だったかなぁ」と8月の辰紀さんのドビュッシーを聞けなかったのがとても悔やまれました。
タローのピアノは初めて聴きましたが、ケラスの繊細なチェロを邪魔するような音は一切でず、とても好感のもてるピアニストでした。歯切れがよいタッチ。弱音も美しい。
プログラム最後のプーランクのソナタは凄く期待して聞いたのですが、
ドビュッシーがあまりにも素晴らしかったので、自分の中ではいまひとつ物足りなさが残ります。
そんな欲求不満を解消してくれたのがアンコール。
なんと4曲も演奏してくれました。
1曲目はやはりドビュッシーの「??」←スミマセン曲名覚えていません。
これがやはりフランスプログラムを締めくくるのに相応しいエレガントな曲で
完全にやられました。
全部フランスものでくるのかと思っていたら
次は何とウィーンの香り。そして次はロシアと続きもうサービス満点。
最後はアルバンベルクの小品をあっさりと弾いていましたが
これがまたとても粋な曲でした。
昨年のドボコン、そして昨日のドビュッシーを聞いてケラスが素晴らしいチェリストであることが実感できました。次回のケラスもまた聴きに行こうと思います。
終演後はrevさんとrevさんのお知り合いのUさんとおしゃべりしながら四谷駅まで・・。
やはりボーイングのことが話題の中心。どうしたらあんな音が出せるようになるのでしょう。
追記(2008.11.19)
アンコール曲名がわからなかったのですが、
こちらのブログ「まりこのうるおろ日記」
でアンコール曲名がアップされていました。marikOさん、どうもありがとうございます。
サイン会でのお二人の写真もアップされています。
1曲目:ドビュッシー レントより遅く
4曲目:アルバンベルク 4つの小品 Op5より第3曲
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ジャン・ギアン・ケラス&アレクサンドル・タロー
2008年11月17日 午後7時開演
紀尾井ホール
S席(RB2-13):5000円
チェロ:ジャン・ギアン・ケラス
ピアノ:アレクサンドル・タロー
プーランク:セレナード
プーランク:フランス組曲
デュティユー:ザッハーの名による3つのストロープ
ドビュッシー:スケルツォ
ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタ
休憩
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
プーランク:チェロとピアノのためのソナタ
アンコール4曲
ドビュッシー:曲名不明
クライスラー:愛の喜び
チャイコフスキー:感傷的なワルツ
アルバンベルク:〇〇な小品
チェロ:ジョフレド・カッパ(1696年)
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PS:ジャン・ギアン・ケラス&アレクサンドル・タロー
は21日(金)に王子ホールでアルペジオーネソナタとブラームス1番を演奏しますがこの日 のチケットは完売。
というよりも、21日はすでにブルネロのバッハとヴィバルディを押さえていたので行けなかっ たのですが・・・。
それにしても東京というのはなんとも凄いところです。
ヨーヨーマ、ケラス、ブルネロ・・といった一流どころが僅か1週間のあいだに何度も演奏す る。今週はこの偉大なチェリストが同時に東京にいるということだけでもかなり刺激的です。
しかも21日はケラスとブルネロの公演が完全にバッティング。
ブルネロを聴くのでケラスは聴きに行けない・・など
すごく贅沢すぎる悩みでした。スミマセン。
ちなみに23日はもっとすごい。
ブルネロのバッハ、7月にベルリンフィルチェロ12人でトップを弾いたクヴァントさんの
ドボコン、上森祥平さんのバッハ無伴奏全曲演奏会、が同じ時間で重なっている。
それから、銀座ヤマハで古川展生さんの公開レッスンも確かこの日でした・・・。
by hideonoshogai | 2008-11-18 22:07 | 音楽 | Comments(8)
行きたいコンサートは色々あったのですが、懐が寒いので、家に引きこもってチェロを弾きながら、自分の音色を聴いています(がっかり)。
ケラス、良かったみたいですね~!行けなかったけど、hideoさんのブログのおかけで、雰囲気つかめましたよ。
来年早々発表会がありまして、練習に励んでます。アンサンブルではタンゴ弾きます!3曲楽譜ありますので、いつかご一緒に弾けたらいいですね。
また、お邪魔しますね~。