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何故、左足のかかとをあげるのか?

Cellorin さんの ジャン・ワンのエルガー印象記をみて
早速、土曜の夜、教育テレビの芸術劇場で2005年7月に放映された
ジャン・ワンの無伴奏組曲連続演奏会の録画ビデオを見直してみました。

確かにジャン・ワンの両足の踵は浮いていて、つま先だけ床に
つけて椅子に浅く腰掛けています。

実は自分もチェロを弾くときに両足の踵が浮いていて、つま先だけが
床に接しています。

これは、いつ頃からそうなったのか、はっきり覚えていませんが
2005年12月にチェロアンサンブルをしたときの写真をみると
そういう姿勢でチェロを弾いています。

自分は、ジャン・ワンの無伴奏リサイタルを見てから
そうしたのではなく
自然にそういう姿勢に変化してきたということに気づきました。

むしろ、ジャンワンの両足の踵が浮いているということは
Cellorinさんに指摘されて、「ほんとだ!つま先だけで支えている」とはじめて気が付きました。ちょろさん指摘してくれてありがとう。

で、なぜ、両足の踵を浮かせてチェロを弾くようになったのか
自分なりの解釈をこれから述べたいと思います。

はじめにお断りしておきますが、これは、昨日、
実際に左足や両足の踵を浮かしてチェロを弾きながら、自分なりに考えた結果です。
なので、両足のかかとを上げることが単なる癖に過ぎず、下記に述べるような
音色に係る効果などなくて、もしかすると下記の記述は誤った考えかもしれません。

まず、自然にまっすぐ直立してみてください。
その状態で左足の踵をあげ左足だけつま先で立ってみてください。
からだはどの方向へ動くでしょうか?

踵をうかして左足でつま先だちすると体は少しだけ右前の方向に移動します。
この状態で体の部分で一番動く場所はどこでしょうか?

右手が一番右前に移動します。
なぜなら、左足から一番遠い対角線上に右手があるからです。

ではこんどは椅子に普通に腰掛けて
みてください。 → ①の状態

こんどは椅子に浅く腰掛けて両足のかかとを浮かせ
つま先で足を踏ん張ってみてください。→ ②の状態

どういう変化がありますか?
つま先だちすることで、背筋がすごくまっすぐになり
お腹や腰の位置がほんのわずかだけ前に移動します。

では、こんどは楽器をもってみましょう。
椅子にふつうに腰掛けて弓をもって開放弦をゆっくりボーイングしてみてください。
↑の①の状態でまず弾いてみてください。

ではそのまま、特に右手の位置を変えないで
両足の踵をうかせて、つま先だちになってみてください。↑②の状態にします。
腰と体が前方移動することでチェロ本体もほんのわずかだけ前方に
移動します。
なので右手にかかる圧力がほんのわずかだけ強くなっているのを感じるはずです。

②の状態では、右手が前におされる感じがしますが、右手を前に移動するのではなく、圧を感じながら①と同じ位置の状態でボーイングしてみてください。

①の時よりもすこしだけ音が大きくなっていませんか?

踵を浮かせてつまさきだちすることには
右手の弓にかかる圧を大きくする効果があることがわかっていただけると
思います。

チェロの音色や音の強弱は右手の弓にかける圧で変わってきますが
右手だけで変化させるのではなく
楽器の位置を微妙に前後に動かすことで同じように弓にかかる圧を調節できるのです。

つまり左足をつま先だちさせ
左足がチェロを支えるバネの役割をすることで
右手だけでなく左足でも音量を調節できるのです。

ジャン・ワンのチェロの音量はとても大きく豊かですが
そんなところに隠された秘密があるのではないかと思いました。

ちなみに
自分はジャン・ギアン・ケラスのチェロも大好きですが
彼も演奏するときには左足の踵は常に浮いていて、つま先だちの状態です。
録画を昨日みて確認しました。
やはりチェロを左足でささえるような格好で弾いています。

自分の知っている範囲ではジャン・ギアン・ケラスとジャン・ワンだけですが
他のチェリストでも左足の踵を浮かせてつま先だちしている
方がいらっしゃるかもしれません。もし、そういう弾きかたを
なさる方がいたら是非、教えてください。

N響首席の藤森亮一さんもときどき踵が浮いてくるように
記憶していますが、映像で確認していないので自信がありません。

by hideonoshogai | 2007-04-02 12:45 | チェロ | Comments(7)  

Commented by ちょろ at 2007-04-02 15:25 x
hideoさんの分析、じっくり読ませていただきました。
おっしゃる通りカカトをあげると、状態の重心が
やや前向きに変わりますね!!!!!

実は、わたしもジャン・ワンのコンサート以来
座りマネをして、色々実験してたんです(笑)。
むふふ、一緒ですね。。。。

hideoさんが注目された所は、左かかとでしたね。
私が注目したところは、右太ももデス!!!

ジャンワンさん、
右太ももを、ガッツリ前に落としていたんです。
(チェロのうしろに隠れるくらい)
これをやると、骨盤の角度がものすごく変わるんです。
Commented by hideonoshogai at 2007-04-02 17:23
ちょろさんは、右太ももに注目していたんですね。そっちは気づかなかったです。もう一度右太ももに注意して録画ビデオを見直してみますね。

ところでNanako さんの師匠のベッチャー先生が5月に大阪でリサイタルをされるそうですよ。ご存知でしたか?どこでいつやるかわかったら教えてくださいませ。

ブラームスのチェロソナタのBoettcher 版ってベッチャー先生編集の楽譜だったのですね。知りませんでした。
きっとブラームス1番は演奏されるんでしょうね。
Commented by ちょろ at 2007-04-02 19:07 x
うむむむむ、、、、3月16日に大阪のいずみホールでリサイタルがあったみたい・・・。。。もしかして、もう終わっちゃったのかしら?あのね、去年かな、、、も、いずみホールでベッチャー先生弾いたので、もしかして同じホールかな・・と思って見てみたの。いずみホールの5月にはないのよ。。。うむむむ。どこだ〜〜〜。
Commented by hideonoshogai at 2007-04-03 18:03
ネットの「ぶらあぼ」でも検索したけど、やっぱりヒットしませんね。ベッチャー先生、大阪ではリサイタルやらないのかな。。。それともすごくプライベートな演奏会だったりして。
Commented by とりぷる at 2007-09-10 01:30 x
hideoさん、はじめまして。当方のブログへのコメントありがとうございます。

当方のブログには「踵が浮くように『なってしまった』と書かれておりましたが、上のhideoさんの記事を拝見するに、それは「気がつくと自分の身体がひとりでにそういう(考えてみれば結構合理的な)奏法を選んでいた」という意味合いであるとぼくは理解しました。それでよろしいでしょうか?

ぼくの場合、弾いている最中に上体が後ろに傾く癖があります。そうなると「溺れる者が藁をつかむ」ように、左手はネックを握り締め、右手は弓を弦に無理に押し付けようとする。そしてそれらの圧力を支えきれず、上体がさらに寝てしまい以下ループして崩壊・・・というパターンがよく起こります。

続きは字数制限に引っかかったので分けます。
Commented by とりぷる at 2007-09-10 01:31 x
上体が後ろに傾き始めると、(少なくともぼくの場合は)かかとが浮いてきます。それゆえぼくはこの現象を自分に対する「注意信号」として使っています。

脚は床に垂直、もしくは少しだけそれより前に置く。足裏は全面を床に設置させる。そのうえで骨盤を立てて上体の姿勢を作る。ぼくの場合はそのようにして姿勢を作っています。「骨盤を立てる」要領は、椅子から立ち上がるときの骨盤の動きを観察されれば、すぐにご理解いただけると思います。あとぼくが爪先立ちの状態を好まないことには、「その状態が長く続くと足裏の筋が張ってきて痛くなる」という理由もあります。

以上はぼくが自分の考えに基づいて行なっている方法です。よってhideoさんがご自分の採用された方法によって、上体の姿勢を保ち、楽器をしっかり受け止め、身体のすべての関節を柔らかく保ち、太く強い音が出せる、と感じておられるのであれば、ぼくはそれに関して難癖をつけるつもりはありません。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by hideonoshogai at 2007-09-10 10:07
とりぷるさん、コメントありがとうございます。

自分の場合はとりぷるさんがご指摘のように、自分でも気づかないうちにいつのまにか「つま先立ち」になっていました。ただ椅子には浅めに腰掛けて背筋はまっすぐ、もしくは身体の重心は前よりです。

とりぷるさんの、「つま先たち」は自分の場合とは、結構違う状況で起こっているのですね。確かに上体が後ろに傾いても、やはり踵が浮いてきますね。状況が良く理解できました。
貴重なコメントありがとうございます。

こちらこそ、これからも、どうぞよろしくお願いします。

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