糖質制限ダイエットと糖負荷試験
毎年12月中旬に職場の成人病検診を受けている。
2010年12月の時点では体重が標準体重を16Kgもオーバーし、
空腹時血糖は113mg、ヘモグロビンA1Cが5.8と高めであり
75gr経口糖負荷試験(OGTT)でも境界型を示し糖尿病の一歩手前。
1年後の2011年12月には体重がさらに1kg増え空腹時血糖114mg
ヘモグロビンA1Cが5.9と上昇した。
勿論、75gr経口糖負荷試験(OGTT)では境界型だった。
さすがに、これでは危険ということで
2012年10月末から12月の検診に向け減量のための食事療法を開始した。
私が選んだのは、今、糖尿病の食事療法として何かと話題になったいる、糖質制限ダイエット。
一日に摂取する糖質だけをできるだけ少なくし、あとは普通に食べてよい、というのが簡便で魅力的だったからだ。
自分の場合、朝食はいつもトーストにマーガリン・ジャムをつけて食べるというのが習慣だったが
朝のトーストをやめ、チーズとヨーグルト、ゆで卵のみにした。
夕飯もご飯をやめおかずだけを普通に食べた。
昼は、日によっては主食を抜いたり食べたり(主食を食べる場合にはハムサンドが多いが)。
野菜サラダとヨーグルト、野菜ジュースだけ、そんな食事を約60日続けた。
この食事療法で、体重は6Kg減り、12月中旬の検診に臨んだ。
結果は空腹時血糖 105mg 正常値。ヘモグロビンA1C 5.7 高めだが一応正常値。
糖質制限ダイエットの効果は凄いと実感した。
ところがである、75gr経口糖負荷試験のデータをみてびっくりした。
糖負荷試験では2時間値がなんと206mgもあり、完全に糖尿病型を示していた。
過去の糖負荷試験2時間値は2011年が113mg、2010年が134mg。
今年に限ってすごい高値に跳ね上ってしまっていた。
食事に気をつけ体重も落し、体脂肪率も落ち、空腹時血糖、ヘモグロビンA1Cもともに正常化したのに糖負荷試験だけが極端な異常値を示し、糖尿病型。
そして検診の結果についてのコメントは、「糖尿について医療機関または主治医にて治療を受けてください」だった。
自分は昨年10月から糖尿病の治療に準じた食事療法をすでに行っており
空腹時血糖、ヘモグロビンA1Cもともに正常化したにも拘わらず
糖負荷試験だけが、異常値を示すのはどうしても解せない。
それからというもの、何故こんな結果になったのかいろいろ調べてみてある事実に気づいた。
それは75gr糖負荷試験は、ある一定の条件で行なわれなければ精確なデータを示さない
ことがあるということである。
そして、その条件というのが
「75gr経口糖負荷試験(OGTT)の実施にあたって正確な判定をうるには次の条件を守ることが必要である。糖質150gr以上を含む食事を3日以上摂取した後・・・」
である。
糖尿病の専門家が2010年10月に糖尿病の分類と診断基準に関する報告書を作成したが
(糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告PDF
http://www.jds.or.jp/uploads/photos/946.pdf )
その中に(495p右段に記載)
「糖質150gr以上含む食事を3日以上摂取した後、早朝空腹時にグルコース75grを経口負荷し・・・略・・・
飢餓時や食事からの糖質摂取が少ない場合には耐糖能は低下する。」
との記載がある。
このことはまだあまり知られていないのではないか。
2時間値が異常に高かった原因はこれだ、と胸のつかえがとれた。
自分の場合、検診の直前ほど糖質制限を厳しくし糖質摂取が極めて少ない状態で検査に臨んだ。
一日に摂取する糖質が少なければ、体はこの糖質に見合ったインシュリンしか分泌しない。
インシュリン値を測定していないのでこれは推測でしかないが
ずっと糖質が少ない状態であった体にいきなり75grもの糖質を2,3分で一気に飲んだため
インシュリンの分泌が充分行なわれず、206mgもの高血糖になってしまったのではないか。
そもそも糖尿病の治療で一番大事なことは「高血糖にしないこと」である。
ヘモグロビンA1cは過去1,2箇月の血糖値を反映しているので糖尿病治療でよい指標になる。
これが低ければ血糖はよくコントロールされていると考えられる。
従来は血糖値(空腹時血糖126mg以上、随時血糖200mg以上、75g糖負荷試験2時間後血糖値200mg)の
いずれかが異常を示せば糖尿病と診断していたが
これらに加えヘモグロビンA1C値を用いた糖尿病の新たな診断基準が昨年から使われている。
国際医療センターの基準参照
http://ncgm-dm.jp/center/info_06.html
この規準によれば自分は糖尿病の治療をすぐに受けるのではなく一箇月以内に再検査
を受け、再度、75g糖負荷試験2時間後の血糖値が200mg以上であった場合に
糖尿病と診断が確定される。
しかし、もし再検査の際にも、糖質制限をして臨んだら、そう考えると、ぞっとする。
いやむしろ糖尿病型と判定されたことで過剰に反応し
むしろもっと糖質制限を厳しくして、再検査に臨み
またもや糖負荷試験で2時間後の血糖値が異常値(200mg/ml)を示してしまったとしたら、
再検査でも糖尿病型であることから、今の診断基準では残念ながら
糖尿病と診断が確定されてしまう。
こんなこと、あってはならないことではないか!
実際に職場の検診でも、試験をうける際の注意書きにこの糖質制限が検査に与える影響に関する記載は一切なかった。
例えば
「糖質制限ダイエットをされている場合には、少なくとも検査前は3日以上、一日150gr以上の糖質を含む食事をされてください。
もし、糖質摂取が不足していると、糖負荷試験で正しい値が得られない可能性があります」
ぐらいの注意書きをしたほうが良いだろう。
で、糖質150grってどれぐらいなのか改めて調べて見ると
これが結構すごい分量だ。
http://toushitsu.nobody.jp/list.html
ごはんなら茶碗で約3杯。
6枚切り食パンなら約6枚に相当する、
これはかなりの分量だ。
糖質制限ダイエットをしていなくても、肥満対策で糖質や炭水化物を
日常的にあまり摂取しない人がもし糖負荷試験をうけると
私の場合と同じ結果になる可能性があるということだ。
まして糖質制限ダイエットとしている人は夕飯で主食を抜く、または朝食、昼食でも主食を抜く場合がほとんどなので
糖質150gr以上を摂取することはないだろう。
結論というか今回の教訓として
糖質制限ダイエットを行っている時に糖負荷試験を受けると異常値を示す場合がある。
しかしこれは糖質を十分摂取しないで検査をうけたために偽陽性である可能性がある。
したがって、糖質制限ダイエット中に糖負荷試験を受ける際には適量(一日150gr)の糖質を最低でも3日以上は摂取してから
糖負荷試験を受けることをお勧めする。
ちなみに、私はまだ再検査は受けていないが、先週のある日の昼食後2時間半の血糖(
随時血糖)が92mgだったのであまり心配はしていない。
しかし、恐らくは、まだ、糖尿病境界型であることに変わりはなく、もうしばらくは(少なくとも
半年ぐらい)糖質制限食を続けていこうと思っている。
by hideonoshogai | 2013-01-24 20:28 | その他 | Comments(42)
最近素通りが多くてすみません・・・
糖質制限ダイエット、あたしも効果ありました。
主食としての炭水化物は大してとっていなくても
間食の炭水化物が結構あったので(苦笑)
その分の効果が多かった気がします。
それにしても、糖尿病検査って危険な弊害がありますね。
心電図なども24時間測定するようなものがありますが、
たいていは年に一度の検査で「宣告」が下ります。
スナップ写真のような検査で判断されるリスクを
改めて教えていただいた気がします。
今年もどうぞよろしくお願いします。
炭水化物をカットするだけで、短期間でも結構効果がありますよね。
逆にいうと、いつもどれぐらい炭水化物を摂り過ぎていたのか、ということですね。
一度の負荷試験で「糖尿病」と確定されることはなく、診断基準では、
再検査でも同様の結果が出たときにだけ診断が確定されます。
糖尿病専門医を一度受診して今回の結果も含めいろいろ聞いてこようと思っています。
今年もどうぞよろしくお願いします。
最近の血糖値はいかがですか?
その後の経過を新しくアップしましたので、ご覧ください。
1時間値が180とのこと。私の場合と同様に空腹時血糖やヘモグロビンA1cは正常だったのでしょうか?
今回の事で一番、気がかりなのは、健康診断を実施している管理者が、「糖質制限をすると耐糖能が低下する」ということを知らないで、「糖尿病型」という検査結果を通知してきたことです。私はこの検査結果を疑問に思って、いろいろ調べた結果、この結論にたどり着きましたが、検査結果を鵜呑みにする方は、自分は糖質制限をしているにもかかわらず糖尿病になってしまったという誤った判断をしかねません。これはとても危険なことです。そう思って今回のエントリーをまとめました。
ダイエット指向の若い女性の1/4に耐糖能異常があるとは知りませんでした。貴重な情報を教えてくださりありがとうございます。
有用な情報ありがとうございます。
私は空腹時70程度×2回、尿糖も一度も+が出たことがなく、いきなり1時間後が200を越えたので困惑しておりました。
妊婦なせいもありますが、それにしても高すぎると思いました。ヘモグロビンの方も計って貰うことにします。
空腹時血糖が70で1時間値200ではちょっと驚かれてしまったですね。お役に立てて嬉しく思います。
妊娠中とのこと。お体お大事にされて下さい。丈夫な赤ちゃんが生まれることを願っております。
ただ、この件で思ったのは、普段の生活でも、糖質制限中にブドウ糖に匹敵するくらいのGI値のものを食べると、最初の何回かは急激に食後血糖値が上がるのではないかということです。
また、再度糖負荷試験を受けるときに本当に前3日だけ規定の糖質を食べれば正しい値が出るのか、糖質制限を長く続けることによって、インシュリンの反応が、慢性的に今回の検査時の様に低くなってしまう心配はないのか?というところが気になりました。
糖質制限を日常的にしている人が、いきなり多めの糖質を摂取したら常にそういう反応がでるのか
また3日間普通の食事に戻せば、インシュリンの分泌が通常のレベルに戻るのか
に関しては、正直私も不勉強で解りません。
しかし以前にも書きましたが、糖負荷試験を受ける被験者への注意喚起として
糖質制限を行っていると通常と違う結果がでる頻度が高くなる可能性がある、ことを
是非加えて欲しいですね。
ちょっと調べてみたところ、長期で糖質制限を続けると、血糖コントロールはできても耐糖能は衰えるという医師の説もありました。
私自身は、切迫詰まっている時以外は、一日一食か二食、適度に炭水化物をとる方向でいこうかと思っています。
また、この資料には事前の絶食時間の上限もあり、私の場合は全く条件を満たしていませんでした。
次回医師に話して、別の検査方法で試して貰うようにします。
あまり極端に糖質を減らすのは耐糖能に悪影響を及ぼすかもしれないので、糖質は適度に摂りながらも、総摂取カロリーも抑えるというのがベストなのだと思います。
ところで年末・年始はどうしても糖質過多・カロリー摂取過多になりやすいので注意して過ごしたいと思います。
それでは、どうぞ良いお年を!
直近のHbA1cは今年2月で6.5でした。なのでかなり要注意です。
耐糖能を検索してたどり着きました。
私も糖質制限を1ヶ月程行い、から揚げの小さめを5個食べたところ、小麦の糖質に反応して2時間後血糖g200超えて驚きました。
怖くなり、少しずつ白米を食べてますが、少しでも170超えます。
試しにインスタントラーメンを一袋食べたら、制限前の多目のネギトロ丼の時よりも数値が上がり240でした!
どこかの掲示板で2ヶ月かけて少しづつ炭水化物を戻し、普通の数値になるまで2ヶ月かかったそうです。
3日で戻るとは思えません。
制限をやめて1週間ですが、数値は高いままです。
糖質制限しないで間食や食事量を減らすだけで良かったのではないかと後悔してます。
血液検査は2ヵ月後に受けようと思います。
今後は徐々に時間をかけて戻していくのが良いのか、短期間に戻すほうが良いのか私にも良くわかりません。
2ヶ月後に正常化するよう願っております。
糖質制限前は白米200gほどのネギトロ丼で200の2時間後は170でした。今はやはり耐糖能が悪化したままで、医者にジャヌビアと言う薬を出されました。糖尿の前に動脈硬化を起こしていたからです。もう、糖質制限は後悔しかありません。
境界のまま食事量を減らすのが一番です。
何でも、10gづつ1週間ごとに糖質を増やして数ヶ月かけて戻すらしいです。
インスリンが十分に出なくなった気がします。
2ヶ月経ちますが、以前のように戻ってません。
ですが、炭水化物の量を減らしての食生活してます。
それで、血糖値が安定したら薬はやめるつもりです。
一度北里病院の山田先生に相談するつもりです。
食後2時間の血糖がやはりまだ高めで推移しているようで、ご心配ですね。
耐糖能の悪化は、糖質制限だけが悪さをしているのではなく、もともとの境界型糖尿病が加齢とともに境界型から真の糖尿病に移行している可能性も有りではないかと考えるようになりました。
糖質制限食に詳しい北里大学の山田先生に是非相談されてみてください。
実は私も膵臓がもうインスリンを出せない状況になり始めての糖質制限でヤドカリが殻にこもるのと同じかと思い始めてました。
境界型で膵臓が疲弊してる人は糖質制限で膵臓が休むきっかけになっただけかもと…。
かかりつけの医師に北里大学病院への紹介状を書いてもらいました。
糖尿とセットで出されるコレステロール降下剤も耐糖能を悪化させると江部先生のブログに出てました。
最近飲んでるのですが、血糖値が2倍3倍と上がるのです。
これもできるものならやめたい。
心臓カテーテル終わったらやめようかと思います。
重症の糖尿病になってしまいますね。
山田先生のとこに行ったらまたご報告させていただきます。
でもよく考えてみれば、糖の摂取が少なければインスリン分泌も少なくてすみます。
つまり使わない機能は、低下するのは当たり前です。
検査のために糖質をとるのはどうかと思います。
糖質制限を続けているのであれば、インスリンの分泌も少なくてよいわけですし、血糖値も上がりません。
だから私は糖質制限を続けていきます。
境界型糖尿病で糖質制限をしている方が糖負荷試験を受けると
実際はまだ糖尿病ではないのに、糖尿病と確定診断されてしまうリスクがあるということを、このエントリーでお伝えしたかっただけです。
検査前に糖負荷をかけ一時的に血糖が上がるリスクよりも糖尿病でもないのに糖尿病と確定診断されてしまうリスクを避けたい、ということです。
もちろん、糖負荷試験など全く受けるつもりがないという方は
糖質制限をずっと続けていけば良いと思います。
なんで糖尿病なんて考えられない食生活で体重も普通なのに??とおもっていました。
私は糖質制限ダイエットをしていて、やりすぎたせいか食欲もなく、毛も抜けて、ひどい体調でした。
こちらを読んで少し安心しました。
コメントありがとうございます。私の経験がサリーさんの疑問に少しでも役に立ったようで良かったです。
例の糖負荷試験をする病院はとても変わっているとのことで、もう行っていないのですが、それこらというもの食べることが怖くなっています。
なのでご飯は出来るだけ玄米を食べています。
糖尿病の病院にかかったら治療は何も必要ないと言われ、来なくて良いといわれました。
理由はきけませんでしたが、2時間で190になっている表やリブレという常時血糖値をはかる機械のグラフもみてもらい、病的なものではないといもいわれました。
HbA1cはやはり5.0なのですが、普通に白米を食べてもよいのでしょうか。
コメントありがとうございます。HbA1cが5.0でしたら、普通に白米を食べても、全然問題ないと思います。